大会長挨拶
開催終了いたしました。
たくさんのご参加ありがとうございました。
第4回関東甲信越アルコール関連問題学会千葉大会開催に当たり、ご挨拶申し上げます。
2017年に日本アルコール関連問題学会の地方会としてスタートした本学会は第1回を埼玉県、第2回は東京都、第3回は神奈川県で開催されました。今回の第4回大会は当初千葉市内での開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、感染リスク低減のためWeb開催とさせていただくことにいたしました。
当院は、この度、千葉県のアルコールおよびギャンブル依存症治療拠点機関に指定され、県内の依存症に関する情報発信、医療機関職員等の研修の実施、さらに関係機関との連携を行う役割を担っていくことになりました。
おりからアルコール依存症治療も変革期にあり、ハームリダクションという概念も拡がる中、断酒一辺倒であった治療法から、少なくとも初期の依存症に関しては減酒という新たな治療目標が追加され、治療選択の幅も拡張しております。また、今回のコロナ禍がアルコール依存症問題においてどのような影響があるかということも注意深く見守っていかねばなりません。
今回の大会は「アディクション回復における『自力』と『他力』-自己放下のタイミングはいつか」をテーマに依存症・嗜虐からの回復における当事者の自助努力と仲間および援助者や環境がもたらしうる外からのポジティブな力とのバランスを探っていきたいと考えています。
認知行動療法に基づいた断酒プログラムなどで学んだ方法の怠らぬ実践といった自助努力(自力)と12ステップで強調されるいったん自己を放棄して自己を超越した力に自分自身をゆだねること(他力)がともに重要性を持つと思われます。「自己放下」という言葉は禅語からとりましたが、「自己を手放す」「自己への執着を離れる」「自分の考えに対する固執を止める」といた体験内容を表現する意味で採用しました。今回は仏教や宗教心理学に詳しい講師の方にご参加いただき、アディクション回復における『自力』と『他力』のダイナミクス、バランスを考慮した講演、シンポジウムを企画いたしました。
当院として初めての学術会議となり、さらに、コロナ禍の中でのWeb会議と不慣れな点が多く、皆様にご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、医師、看護師、PSW、OT職員一同、全力を尽くして運営を行いますので、皆様のご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。
2020年10月吉日
関東甲信越アルコール関連問題学会
第4回大会長 南 雅之
(医療法人社団健仁会 船橋北病院 院長)