理事長挨拶
久里浜医療センター 松下 幸生
日本アルコール関連問題学会は全国に地方会が存在しており、アルコールや薬物依存症、行動嗜癖の診療や支援に携わる方々や当事者、家族の方々等の情報交換や交流の場として活発に活動しておりますが、関東甲信越には長い間、地方会が存在しておりませんした。
しかし、情報交換や交流の場が関東甲信越にも欲しいという意見が多く寄せられ、多くの方々からご支援、ご協力をいただいて、2017年に関東甲信越アルコール関連問題学会が設立されて、年に1回集会を開催することとなりました。
最近の依存症を取り巻く環境は、大きく変化しています。2013年には、わが国のアルコール関連問題の発生・進行・再発等を予防する目的で、「アルコール健康障害対策基本法」が成立し、対策を推進する第二次基本計画が、令和3年3月に閣議決定されました。2018年には「ギャンブル等依存症対策基本法」が成立し、ギャンブル依存への対策が義務づけられました。国際疾病分類ICD-11には、ゲームへの依存が疾病として認められることも決まっています。このように、アディクションは時代とともに変化する面がある一方で、アルコールや薬物への依存が社会的にも大きな問題であることに変わりはありません。
依存や嗜癖の問題は、当事者の苦痛はもちろん、家族など周囲の人達にも強い影響を及ぼすにも関わらず、医療者の間でも関心が高いとは言えず、疾病に対する誤った理解も見受けられます。日頃から依存症の人たちの医療、支援に関わっている人たちや、これから関わろうとする人たちに依存症を正しく理解していただき、医療、支援の参考にしていただくためにも、学会を通して理解を深めていただくと同時に、地域の医療者、支援者の仲間と交流をしていただくことが、本学会の目的です。
関東甲信越ブロックは、歴史の浅い小さな学会ですが、この活動を継続、発展させて、より多くの医療者、支援者が依存の問題に関わってくださることを目指したいと思います。皆様のご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。