理事長挨拶
関東甲信越アルコール関連問題学会理事長挨拶
国立病院機構久里浜医療センター 院長 松下幸生
第8回関東甲信越アルコール関連問題学会甲府大会開催にあたり、ご挨拶申し上げます。
まず、本大会開催にあたり、ご尽力いただいた大河原昌夫先生はじめ甲府大会事務局の方々に心より御礼申し上げます。
さて、アルコール依存症医療黎明期の1979年から始まった日本アルコール関連問題学会は、アルコール医療を全国に広めるために地方ブロックが作られましたが、関東甲信越だけは地方会が存在していませんでした。このような状況の中、情報交換や交流の場が関東甲信越にも欲しいという意見が多く寄せられ、2017年に関東甲信越アルコール関連問題学会が設立され、川越を皮切りに、東京、横浜、千葉、新潟、筑波、八王子で開催され、今回で8回目です。
最近の依存症を取り巻く環境は、大きく変化しています。2013年には、「アルコール健康障害対策基本法」、2018年には「ギャンブル等依存症対策基本法」が成立し、アルコールやギャンブル依存への対策が義務づけられました。WHOによる診断基準である国際疾病分類ICD-11には、ゲームへの依存が疾病として認められました。このように、アディクションは時代とともに変化しています。また、アルコール依存の医療は、以前のように問題に直面化させて否認を打破するという治療から動機づけを重視して、最終的には断酒を目指しながらも、減酒を含めて治療目標を当事者と話し合うという治療に大きく変化しています。
依存や嗜癖の問題は、当事者の苦痛はもちろん、家族など周囲の人達にも強い影響を及ぼすにも関わらず、医療者の間でも関心が高いとは言えず、誤解や偏見も見受けられます。このような中、依存症の医療、支援に関わっている人たちや、これから関わろうとする人たちに依存症を正しく理解していただくと同時に、地域の医療者、支援者の仲間と交流をしていただくことが、本学会の目的です。
本会は、歴史も浅く小さな学会ですが、この活動を継続、発展させて、より多くの医療者、支援者が依存の問題に関わって下さることを目指したいと思います。皆様のご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。